稼いでいるのに、残らないのはなぜ?
ふたりとも働いている。給料もそれなりにある。ぜいたくをしている覚えもない。それなのに、通帳を見ると思ったほど増えていない。
そんなとき、多くの人は「もっと節約しなきゃ」と考えます。でも、その前に疑ってほしいことがあります。
それは、財布が別々で、家全体のお金が誰にも見えていないことです。
共働き夫婦500人に聞いた調査(2026年4月)では、互いの資産状況を知らない人が46.8%いました。お金の使い方でケンカをすることが「たまにある」「頻繁にある」人も、合わせて約半数でした(株式会社Hajimari「フリーランスジョブ」調べ「共働き夫婦の家計管理調査」)。
相手のお金が見えていない家は、あなたの家だけではありません。
理由1:担当なしの出費
家賃は夫、食費は妻。大きな出費は、担当を決めている家が多いでしょう。ところが、毎月出ていくお金は、それだけではありません。
子どもの上履きや遠足のおやつ、ティッシュや洗剤、友だちへの誕生日プレゼント。こうした「小さな共通の出費」は、たいていその場にいた方が払います。ひとつひとつは少額なので、記録もしません。
その結果、誰も合計を知らないまま、毎月それなりの額が出ていきます。しかも、ふたりとも「自分の方が多く払っている」と感じやすくなります。お金の話がケンカになりやすいのは、このせいでもあります。
理由2:「相手が貯めているはず」
いちばん気をつけたいのが、これです。自分の口座にはあまり残っていなくても、「相手がちゃんと貯めているはず」と安心してしまう。
ふたりとも同じように相手を頼りにしていれば、家の貯金はどこにも増えていません。それに気づくのは、子どもの進学や家の修繕など、大きなお金が要るときです。
理由3:ふたり分の重なり
財布が別々だと、相手が何にお金を払っているかが見えません。すると、同じものにふたりで払っていることがあります。
よくあるのが、動画や音楽などの定額サービスです。家族で共有できるプランがあるのに、それぞれが別々に入っている。日用品をふたりとも買ってきて、家に同じものが並ぶ。
ひとつひとつは小さくても、毎月続くと積み重なります。月1,490円の定額サービスに、ふたりが別々に入っていたとします。家族で共有できるなら、重なっている1人分だけで、年に1万7,880円(1,490円 × 12か月)になります。
理由4:行き先のない余り
月末に少しお金が残っていても、使い道が決まっていなければ、それは「使っていいお金」に見えます。そして次の月、自然と消えていきます。
ボーナスがいつの間にかなくなっているのも、同じ理由です。「夏休みに家族で旅行に行く」のように、ふたりで同じ目標を持っていると、余りに行き先ができます。目標がない貯金は、崩れやすいのです。
うちにいるのは、どの理由? 8つのチェック
当てはまるものを数えてみてください。印が付いた理由が、あなたの家のお金を消している可能性があります。
| チェック | 理由 |
|---|---|
| 日用品や子どもの物を、どちらが払うか決めていない | 1 |
| 「自分の方が多く払っている」と感じることがある | 1 |
| 相手の貯金額を、だいたいでも言えない | 2 |
| 家の貯金は、主に相手がしていると思う | 2 |
| 相手が入っている定額サービスを知らない | 3 |
| 家に同じ日用品がだぶっていることがある | 3 |
| 夫婦で決めた「お金を使う目標」がない | 4 |
| ボーナスの使い道を、後から思い出せない | 4 |
4つの理由に共通すること
4つの理由には、共通点があります。どれも「ふたりとも、家全体の数字を見ていない」ことから生まれています。
だから、最初にやることは節約ではありません。見えるようにすることです。見えさえすれば、我慢をしなくても、お金は残りやすくなります。
今日からできる捕まえ方:まず自分の分だけ
いきなり夫婦で全部を見せ合う必要はありません。最初は、自分の分だけ、5分で見える化します。
- 手取り(毎月、口座に入る額)を書く
- 固定費(家賃、通信費、保険料、定額サービスなど)を足す
- 毎月決まって貯めている額を書く
- 分かっている支出(食費や日用品など、だいたいでいい)を足す
- 手取りから2〜4を引く
最後に残った額が、行き先が分からないお金です。
理由ごとの、次の一手
数字が見えたら、印が付いた理由ごとに、次の一手を選びます。
- 理由1(担当なしの出費)が多い家:家のお金を出す「共通の財布」をひとつ作る。共通の財布の分担計算で、ふたりが入れる額を比べられます
- 理由2(相手が貯めているはず)が多い家:月に1回、15分だけ、ふたりで数字を見る時間を作る。家計会議の質問文メーカーで、AIに司会を任せられます
- 理由3(ふたり分の重なり)が多い家:定額サービスを年額で並べて、重なりを探す。サブスク・固定費の年額換算が使えます
- 理由4(行き先のない余り)が多い家:ふたりで同じ目標をひとつ決めて、給料日に先に分ける。目標の先取り貯金の逆算で毎月の額が出ます
相手を責めないために
「見えないお金」が見つかると、つい相手に言いたくなります。でも、ここまで読んでくださった通り、4つの理由はどれも仕組みが生むものです。どちらかが悪いわけではありません。
話を切り出すときは、「あなたのせいで」ではなく、「わたしの分を計算してみたら、こんなに見えないお金があった」と、自分の話から始めるのがおすすめです。切り出し方は、夫婦のお金の話の切り出し方でくわしく説明しています。
まとめ
- 共働きなのに貯金できない理由は、むだづかいより「家全体が見えていないこと」にあることが多い
- 起きやすいのは、担当なしの出費・「相手が貯めているはず」・ふたり分の重なり・行き先のない余りの4つ
- 最初にやるのは節約ではなく、自分の分を5分で見える化すること
- 理由ごとに、共通の財布・家計会議・年額での見直し・先取り貯金を選ぶ
全体の進め方は、共働きの家計管理の方法にまとめています。