「なぜか残らない」の正体
給料日から半月たつと、口座の残高がなんだか心細い。大きな買い物をした覚えはないのに、月末にはほとんど残っていない。共働きの家庭で、とてもよく聞く話です。
このとき、つい「むだづかいしているのかな」と、自分や相手を疑いたくなります。でも、原因はむだづかいとは限りません。多いのは、お金の行き先が見えていないことです。
この「行き先が分からないお金」を、ここでは「見えないお金」と呼びます。何に使ったか思い出せないお金と、口座に残っていても使い道が決まっていないお金。この2つを合わせたものです。
計算は引き算だけ
見えないお金は、引き算で見つかります。
見えないお金(1か月)= 手取り − 固定費 − 貯金 − 分かっている支出
使う数字は4つだけです。
| 数字 | 中身 | どこで分かるか |
|---|---|---|
| 手取り | 毎月振り込まれる給料 | 給料明細、口座の入金の記録 |
| 固定費 | 家賃、携帯代、定額サービス、保険料など | 口座の引き落とし、カードの明細 |
| 貯金 | 先取り貯金や積み立てなど、毎月分けている額 | 振替の記録 |
| 分かっている支出 | 食費や日用品など、だいたい把握している支出 | 記憶とカードの明細 |
たとえば、手取り28万円、固定費9万円、貯金3万円、分かっている支出11万円なら、28 − 9 − 3 − 11 で、見えないお金は月5万円です。1年にすると60万円になります。
月5万円だと「まあ、そのくらいは」と思えても、年60万円と聞くと少しドキッとしませんか。年額で見ると、ふだん見過ごしている金額の大きさがつかめます。
5分でやる手順
- スマホで、給料が振り込まれる口座のアプリを開く
- 先月の入金額をメモする(手取り)
- 引き落としとカードの請求から、毎月同じように出ていくものを拾う(固定費)
- 毎月分けている貯金の額を書く
- 食費や日用品など、だいたい分かっている支出を書く
- 引き算をする
金額は1,000円単位の「だいたい」で十分です。正確さより、「全体が見えた」という感覚の方が大事です。
計算は、見えないお金の計算に数字を入れるだけでもできます。月と年の金額、手取りに対する割合がその場で出ます。
まずは自分の分だけでいい
共働きの家庭では、ここで「相手の分も知りたい」と思うかもしれません。でも、最初は自分の分だけで大丈夫です。相手にはまだ何も言わなくて構いません。
自分の数字が分からないまま夫婦で話すと、話が「なんとなく」の言い合いになりがちです。先に自分の分を握っておくと、あとで落ち着いて話せます。自分の数字を先に見せる方が、相手に「出して」と言うより、ずっと話しやすくもなります。
見えないお金の正体は、だいたいこの4人
財布が別々の家では、見えないお金が生まれやすい理由があります。本では、それを「4人の犯人」と呼んでいます。
- ① 担当なしの出費:子どもの文房具や日用品など、その場にいた方が払う小さな出費
- ② 「相手が貯めているはず」:お互いに、家の貯金は相手がしていると思い込んでいる
- ③ ふたり分の重なり:同じ定額サービスに、ふたりが別々に払っている
- ④ 行き先のない余り:月末に残ったお金の使い道が決まっておらず、次の月に消える
どれも、誰かが悪いわけではありません。家全体の数字を、ふたりとも見ていないことから生まれる、仕組みの犯人です。
見つけた後にやること
見えないお金が分かったら、ゼロにしようと頑張る必要はありません。次の3つを、できるところから試してみてください。
- 心当たりのある支出を1つ、「分かっている支出」に移す:「コンビニのコーヒー、月に3,000円くらいかも」と思ったら、その分を足して計算し直します。少しずつ、見えるお金が増えていきます。
- 毎月続くものから見る:細かいものを全部追うと疲れます。サブスクや保険料など、毎月続くものから見ると手間が少なく済みます。
- 余りに行き先をつける:残っているのに使い道がないお金は、目標のための貯金に先に分けてしまいます。行き先が決まったお金は、もう「見えないお金」ではありません。
よくある迷い
夫婦の合計で計算してもいい?
はい、大丈夫です。ふたりの数字が分かっているなら、合計で計算すると、家全体の見えないお金が分かります。ただ、最初は自分の分だけで計算して、家計会議でふたりの数字を並べる方が、話の流れとしては自然です。
ボーナスは手取りに入れる?
毎月のお金の流れを見るための計算なので、まずはボーナスを入れずに計算するのがおすすめです。ボーナスで毎月の不足を埋めているかどうかも、その方が見えやすくなります。
マイナスになったときは
計算の結果がマイナスになることもあります。これは「計算上、手取りより多く使っている」という意味です。
ボーナスや預金で、毎月の不足を埋めている分があるのかもしれません。あるいは、同じ支出を固定費と分かっている支出の2か所に入れている可能性もあります。まずは、数字の重なりがないか確かめてみてください。
マイナスだったとしても、自分や相手を責める必要はありません。気づけたことが、すでに一歩前進です。次は、この数字を持って、ふたりで話す番です。