「結局、いつも私(僕)じゃない?」
晩ごはんの話をしていると、どうしても行き着くのがこの問題です。考えるのも、買うのも、作るのも、なんとなく片方に偏っている。
パナソニックが、パートナーと暮らす18〜69歳の400人に聞いた調査(2025年10月)では、家事の分担について話し合う機会が「まったくない」人が21.5%、「ほとんどない」人が47.5%でした。合わせて69.0%です(BCN+R「パナソニックの家事ストレス調査」の報道)。
話し合う機会がないまま、なんとなく片方に偏ってしまう家は多いのかもしれません。
分担がうまくいかない理由:「料理=作ること」
料理の分担がうまくいかないいちばんの理由は、「料理=作ること」だと思われていることです。
料理が苦手な人は「作れないから」と遠慮し、得意な人は「結局自分がやるしかない」と抱え込みます。
でも、晩ごはんは、誰かが決めないと出てきません。「決める」のも、立派な家事です。「なんでもいい」は、やさしい言葉に聞こえて、実は「決める仕事」を相手に渡している言葉でもあります。
言った側に、悪気はありません。だからこそ、気持ちではなく仕組みで分けます。
晩ごはんの「4つの役」
晩ごはんを分けると、4つの役があります。
| 役 | 中身 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ① 決める | 週に1回、1週間の献立を決める | スマホ操作が苦にならない人。段取りが好きな人 |
| ② 買う | 買い物リストどおりに買う。ネットスーパーで注文する | 帰り道にスーパーがある人。料理は苦手でもできる |
| ③ 仕込む | 週末に、作り置きや下ごしらえをする | 週末に時間がある人 |
| ④ 作る | 平日の晩ごはんを作る | その曜日に早く帰れる人 |
料理が苦手な人でも、①決めると②買うは、十分にできます。リストどおりに買うだけなので、料理の腕は関係ありません。
担当は「腕」ではなく「時間」で決める
担当を決めるときは、「どちらが料理が上手か」ではなく、「いつ、誰が家にいるか」で決めます。
たとえば、こんな家があったとします。
- 夫:月・水・金は18時に帰れる。火・木は遅い。料理はあまりしたことがない
- 妻:火・木は在宅勤務。月・水・金は19時過ぎに帰る
この家なら、こう分けられます。
| 曜日 | 型 | 作る人 | メモ |
|---|---|---|---|
| 月 | 作り置き | 夫 | 温めて並べるだけ |
| 火 | 炒め物 | 妻 | 在宅勤務の日 |
| 水 | 丼 | 夫 | 日曜に仕込んだ具をのせる |
| 木 | 魚 | 妻 | 在宅勤務の日 |
| 金 | 麺 | 夫 | ゆでるだけ |
| 土 | 作らない日 | ― | テイクアウト |
| 日 | 手間をかける日+作り置き | ふたり | 一緒に仕込む |
料理をあまりしたことがない夫でも、月・水・金は「温める」「のせる」「ゆでる」だけです。そのための仕込みは、日曜にふたりでやっておきます。もちろん、夫と妻が逆の家も、同じ分け方でできます。
曜日ごとに「炒め物」「丼」「麺」のような型を決めておくと、献立を決める役の負担も小さくなります。型の決め方は、AIに「献立考えて」だけでは失敗するで説明しています。
「教える」より「仕込んでおく」
料理が苦手な人に担当してもらうとき、ついやってしまうのが「横について教える」です。これは、教える側も教わる側も疲れます。
「ちょっと、それ火が強すぎない?」「……じゃあ、やってよ」。この会話、どちらも悪くありません。ただ、平日の夜にやるには、お互いに余裕がなさすぎるのです。
それより、日曜に「温めるだけ」「のせるだけ」の状態まで仕込んでおくほうが、ずっと平和です。料理に慣れるのは、そのあとで十分です。
言い出しにくいときの一言
「分担しよう」と切り出すのは、勇気が要ります。相手を責めているように聞こえないか、心配になりますよね。
おすすめは、「相手に頼む」ではなく「仕組みを一緒に作ろう」と誘う言い方です。
- 「晩ごはんを週1回で決める方法を見つけたんだけど、週末に15分だけ付き合ってくれない?」
- 「献立を決めるのが、実はけっこうしんどくて。決めるのか買うのか、どれか1つ持ってもらえると助かる」
- 「金曜だけ、麺をゆでる係をお願いしてもいい?」
最初から全部を分けなくていいのです。まずは1つの役、1つの曜日から。「金曜の麺係」から始まった分担が、いつか献立を決める役になっていたら、しめたものです。
話し合いが難しいときは
こうした誘い方をしても、うまくいかないこともあります。忙しすぎて、相手にまったく余裕がない時期もあるでしょう。そんなときは、無理に正面から話し合わなくて大丈夫です。
- まずは自分ひとりで、週1回まとめて献立を決める仕組みだけ回してみる(「決める」が週1回になるだけで、かなりラクになります)
- AIに作ってもらった担当表を、「こういうのが出てきたんだけど」と見せてみる(人から言われるより、角が立ちにくいことがあります)
- 外食・惣菜・ミールキットなど、お金で手間を買う日を予定に入れる(週の食費の枠の「ゆとり費」から出すと決めておけば、罪悪感が小さくなります)
話し合いがどうしてもつらいときは、ひとりで抱え込まず、お住まいの市区町村の相談窓口など、公的な窓口に相談することも考えてください。
まとめ
- 晩ごはんは「決める・買う・仕込む・作る」の4つの役に分ける
- 料理が苦手な人にも、「決める」と「買う」は担当できる
- 担当は料理の腕ではなく、「その曜日に、誰が早く帰れるか」で決める
- 苦手な人が作る日は、週末の仕込みとセットにして「温める・のせる・ゆでる」だけにする
- 切り出すときは「頼む」ではなく「仕組みを一緒に作ろう」と誘う
献立会議の質問文メーカーで家族の条件と曜日の型を入れると、AIに貼れる1週間の献立の質問文ができます。決まった献立をもとに、「決める・買う・仕込む・作る」の担当をふたりで分けてみてください。