お正月だけ、桁が変わる

ふだんのおこづかいは、月に数百円から千円ほど。ところがお正月だけは、桁が変わります。

少し前の大きな調査では、小学生のお年玉の総額でいちばん多いのは、1・2年生で「1万円くらい」、3〜6年生で「1万〜2万円未満」でした(金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度調査」、図表9)。

1万円は、月500円のおこづかいの20か月分です。このお金をどう扱うかで、毎年のように迷う家は多いはずです。

「全部預かる」も「全部渡す」も、もったいない

お年玉の扱いは、家によって大きく2つに分かれます。

  • 全部、親が預かる
  • 全部、子どもに渡す

全部預かると、使い道が子どもに見えなくなりがちです。子どもは「自分のお金」という感覚を持てません。

全部渡すと、1万円という、ふだんの何十倍ものお金を、いきなり練習なしで使うことになります。3日で消えてしまうこともあります。

どちらも、せっかくの「大きなお金の練習」の機会を逃しています。

おすすめは「使う・ためる・ゆずる」の3つに分ける

分け方中身割合の例
使う今すぐ使っていいお金。何に使うかは子どもが決める2〜3割
ためる欲しいもののために取っておくお金。目標を決める6〜7割
ゆずる誰かのために使うお金(家族へのプレゼント、募金など)1割

割合は目安です。大事なのは、袋を開ける前に子どもと一緒に決めておくことです。開けたあとに決めると、どうしても「全部使いたい」になります。

計算例:1万5,000円を「3:6:1」で分けると

お年玉が1万5,000円で、「使う3:ためる6:ゆずる1」と決めた場合です。

分け方計算金額
使う15,000円 × 3 ÷ 104,500円
ためる15,000円 × 6 ÷ 109,000円
ゆずる15,000円 × 1 ÷ 101,500円

端数が出るときは、「使う」と「ゆずる」を100円単位で切り捨てて、残りを全部「ためる」に入れると、硬貨を数える手間が減ります。

「使う」は、子どもに決めさせる

「使う」と決めたお金は、何に使うかを子どもに任せます。親から見てむだづかいに思えても、口を出さないのがコツです。

お年玉で買ったものがすぐ飽きてしまっても、それは失敗ではありません。「4,500円あったら、何が買えて、何が買えなかったか」を体で覚える、いちばんの練習です。小さな額で失敗しておくことが、大人になってからの大きな失敗を防ぐことにつながります。

「ためる」には、目標をひとつ決める

「ためる」分は、ただ取っておくだけより、何のためにためるかをひとつ決めると続きます。

  • 「夏休みに、ゲームのソフトを買う」
  • 「自転車を買うとき、半分を自分で出す」
  • 「来年のお年玉と合わせて、図鑑のセットを買う」

目標の額と時期が決まると、「あといくら」「あと何か月」が見えるようになります。

「ためる」お金の置き場所

ためる分は、子どもが見える場所に置くのがいちばんです。

  • 低学年:透明な貯金箱や、中身が見える封筒。たまっていく様子が目で見える
  • 中・高学年:子ども名義の預金口座を作る家もあります。通帳に金額が印字されるのを見るのは、子どもにとって特別な体験です

口座に入れる場合も、「預けたお金は、あなたのもの」という約束は守ってください。いつの間にか親の家計に溶けていると、子どもはいつか気づいて、残念に思うことがあります。

なお、この記事では、お年玉を株や投資信託などで増やす話はしません。どこに預けるか、増やすかどうかは、それぞれの家で判断してください。

「ゆずる」は、なくてもいい

「ゆずる」は、なくてもかまいません。ただ、自分のお金で誰かを喜ばせる経験は、お菓子を買う経験とはまた別の、うれしい気持ちを子どもに残します。

母の日のカーネーション1本、きょうだいの誕生日のお菓子ひとつでも十分です。

祖父母や親戚に、先に伝えておくと楽になる

お年玉をくれる祖父母や親戚には、「うちは3つに分けて、半分以上は貯めることにしているんです」と、さらっと伝えておくと話が早くなります。

くれた人も、「ちゃんと考えて使ってくれる」と分かると安心します。お礼の電話や手紙で、「○○を買うためにためています」と子どもから伝えると、もっと喜ばれます。

ゲームの課金にお年玉を使いたいと言われたら

最近は「お年玉で課金したい」と言われる家も多いはずです。認めるかどうかは家によって考えが分かれますが、認めるなら「使う」の中から払う、と決めておくと線がはっきりします。

国民生活センターは、無断の課金を防ぐために、親のスマホを貸すときは親のアカウントからログアウトしておく、子ども用のアカウントで課金を親の承認制にする、といった対策をすすめています(国民生活センター「子どものオンラインゲーム 無断課金につながるあぶない場面に注意!!」2024年3月13日)。設定のしかたは機種ごとに違うので、メーカーの公式ページで確かめてください。

まとめ

  • お年玉は、袋を開ける前に「使う・ためる・ゆずる」の割合を親子で決める
  • 「使う」は子どもに任せる。小さな失敗が、いちばんの練習になる
  • 「ためる」には目標をひとつ。見える場所に置き、「あなたのお金」の約束を守る
  • 祖父母や親戚には、分け方を先に伝えておく

子どものおこづかいの目安の「お年玉の分け方」に総額と割合を入れると、3つの金額がすぐに出ます。ふだんのおこづかいの額の決め方は、小学生のおこづかいはいくら?で説明しています。